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大阪高等裁判所 平成元年(行コ)50号 判決

控訴人 清水利明

控訴人 清水芳

右控訴人ら訴訟代理人弁護士 土井廣

被控訴人 摂津市

右代表者市長 森川薫

右訴訟代理人弁護士 黒川勉

主文

一  控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する。

二  控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  本件を大阪地方裁判所に差し戻す。

二  被控訴人

主文同旨。

第二当事者の主張

左記のとおり付加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

一  控訴人らの当審における附加主張

控訴人らには、左記のとおり、被控訴人の奥野ら八名に対する処分のうちの借地権に関する部分(以下「処分甲」という。)の取消を求める訴えについて、紛争を裁判によって解決するだけの現実の必要性があるから、訴えの利益が認められるべきである。すなわち、

処分甲は、奥野ら八名が借地権を有しないのに、それを有するものとしてなされており、又被控訴人の控訴人らに対する処分(以下「処分乙」という。)は、借地権の制約を受けないのに、それを受けるものとしてなされているのであり、いずれも違法である。そして、処分甲が取り消されれば、その利益に相当する分は、論理必然的に控訴人らに与えられることとなるのであるから、控訴人らは、処分甲の取消を求めるにつき法的利益を有する。

二  被控訴人の認否

争う。

第三証拠《省略》

理由

一  当裁判所も、原審と同様に、控訴人らの本件訴えはいずれも却下すべきものと判断するが、その理由は、左記のとおり訂正するほか、原判決の理由説示と同じであるから、これを引用する。

1  原判決一一枚目表一行目の「原告ら」から、同七行目までを次のとおり訂正する。

「控訴人ら主張の右理由すなわち右反論三3(二)(1)(ア)ないし(エ)については、帰するところ控訴人ら及びその代理人の法の不知に由来するものにすぎず、仮に控訴人らが訴訟代理人の故意又は過失に起因して不変期間を遵守することができなかったとしても、このような場合には、本人に過失がなくとも、右やむを得ない理由に該当しないというべく、この理は判例(最高裁判所第三小法廷昭和二四年四月一二日判決、民集三巻四号九七頁。)の示すところである。また右反論のうち(イ)、(エ)については、およそ行政庁の不教示は、行政庁が誤った教示をした場合と異なり、審査請求人に対し積極的に誤信の原因を与えるものではないから、処分乙の通知書に審査請求を前置しなければ取消訴訟を提起できないとの注意が記載されていないこと並びに建設省の監修に係る控訴人ら主張の解説書に審査請求前置の説明がなかったことをもって右やむを得ない理由に当たるということはできないので、控訴人らの右主張はいずれも失当である。

その他右当事者間に争いのない事実及び《証拠省略》に表れた諸般の事情を考慮しても、いまだ本件において右やむを得ない理由があると認めることはできない。

したがって、控訴人らの右主張は採用の限りでない。」

2  同一二枚目表末行目の「原告らの右主張」を「控訴人らの右主張及び当審における附加主張はいずれも採用の限りでない。」と訂正する。

二  以上のとおり、控訴人らの本件訴えは、いずれも不適法であるから、これを却下すべきで、これと同旨の原判決は相当であり、控訴人らの本件控訴はいずれも理由がない。

よって、控訴人らの本件各控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法第八九条、第九三条、第九五条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 石田眞 裁判官 諸富吉嗣 鎌田義勝)

〈以下省略〉

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